どうも、井上です。
今回は銘柄コード3563
スシローグローバルHD
について解説します。
スシローとは
皆さん、
スシローという会社を
ご存知でしょうか?
スシローは、
日本全国に展開する
業界No.1の回転寿司チェーン店です。

父は現在、
この会社の株を
持っているわけではないですが、
コロナ禍において
回転寿司業界は
飲食業の中でも底堅いと見ていて、
安くなったら買えるように
指値注文しています。

ただ、詳しく
財務体質を調べているわけではないので、
今回の分析で
深く掘り下げたいと思います。
スシローの財務分析
次の表は、
直近3期分(2018~2020年)の
第2四半期 財務分析表です。

(クリックすると拡大します)
気になるところを見ていきましょう。
・有形固定資産
・リース負債
が大きく増えています。

調べたところ、
IFRS第16号、つまり
新たな会計方針の適用によるもので、
特に問題はありません。

父によると、
本業は順調に伸びてる

自己資本比率がまだ低い

無形資産が大きい

流動比率・当座比率は低いが、
売掛がなく現金収入なので資金繰りは基本的に問題ない

とのことでした。
自己資本比率とは
自己資本比率というのは、
総資本のうち、自己資本が占める割合のことです。
この比率が低いということは、
他人資本、つまり
借金が多いということになります。

借金は必ずしも
悪ではありません。
多額の借金があるということは
それだけ銀行から信頼されているということですし、
借りたお金を効率的に回すことができれば
成長のチャンスに繋がります。

ただもちろん、
借金が多ければいいというわけでもなく、
適度な割合というものがあります。
自己資本の適切な割合というのは
賛否両論ですが、
目安としては
30~50%としておくといいでしょう。

ROE(自己資本利益率)を高めようとすると
自己資本比率は下げたほうがいいし、
今回のコロナショックのような事態に備えて
50%以上あるほうがいいということになります。
しかし、スシローの
21.44%は低いですね。
リース会計処理の影響(資産・負債が両建で膨らんだ)で
32.56%から21.44%に下がっていますが、
これをどう捉えるかですね。

スシローの自己資本比率が低い理由
では、なぜこれほどまでに
自己資本の割合が低いのでしょうか?
それは、スシローが今まで歩んできた
軌跡に理由があります。

スシローは2009年に一度
上場廃止となっていますが、
その後、英投資ファンド「ペルミラ」に買収され、
2017年には再上場を果たしています。

この「ペルミラ」に買収された際、
LBO(レバレッジド・バイアウト)という手法が
使われており、
このLBOこそが
スシローの自己資本比率を
大きく下げた原因となります。
LBOについては
ダイヤモンド・オンラインの以下の記事が
大変わかりやすかったので、引用させていただきます。
下図を見ながら説明しよう。まず、買収する側の企業(ペルミラ)は、買収のためだけの目的会社を設立し、自己資金に加えて多額の借入金で、買収先企業(スシロー)の株を取得する。

そして、目的会社を存続会社として買収先企業を合併すると、株式の額のうち、買収先企業の純資産分は相殺されて消去され、残りは買収のために余分に払ったおカネ、すなわちのれんとして計上される。こうして、のれんと買収のために調達した借入金を抱えた新会社(新スシロー)が“一丁上がり”というわけだ。
出典:ダイヤモンド・オンライン『スシローとすかいらーくの意外な共通点は膨らむ「のれん」だった』
LBOによって、スシローは
「のれん」と「借入金」を
大きく計上することになりました。
その上で改めて
貸借対照表を見てみましょう。
総資産のうち
「のれん」と「無形資産」が
大きな割合を占めています。

無形資産の内訳は、
直近の有価証券報告書によると
・ブランド
・ソフトウェア
・その他
と書かれており、
ブランドがほとんどの割合を
占めています。

さて、
「のれん」と「ブランド」の割合が大きいと
どんな問題が生じるのでしょうか?
スシローはIFRS(国際会計基準)を
採用していますから、
のれんとブランドは
減価償却の対象となりません。
その場合、スシローが
何らかの原因で業績不振に陥ると、
費用として一気に計上しなければ
ならなくなります。
どのくらいの減損のリスクがあるか
ざっくり計算してみましょう。
直近の有価証券報告書によると、
のれんは303億円、
ブランドは535億円、
繰延税金負債は△182億円となり、
合計すると656億円となります。

2019年9月末時点の純資産が473億円ですから、
もし656億円の減損が発生すると、
183億円の債務超過となります。

これが減損のリスクです。
こうならないために、
スシローは毎年安定した収益を
上げ続けなければなりません。
回転寿司業界ではNo.1ですが、
そのイメージとは裏腹に
大きなリスクを抱えているということですね。

決算説明資料
次に
決算説明資料を見てみましょう。
コロナの影響で
4月が特に厳しいようです。

その中でも
「新業態」
というのが気になります。
スシローの新業態とは
何でしょうか?
調べたところ、
『杉玉(すぎだま)』という
大衆寿司居酒屋でした。

ほとんどのメニューが
299円~399円の価格構成だそうです。

2017年8月に、
兵庫県西宮市に1号店を出店し、

2019年11月時点では
11店舗に達したそうです。

ただ、父によると
居酒屋は差別化が難しいので
コロナ禍においてはさらに厳しいのでは?
回転寿司に特化したほうがいいと思う
と、難色を示していました。
まとめ
回転寿司業界は
相変わらず底堅いと見ていますが、
スシローは新業態で
コケる可能性があります。
指値はしているものの、
取り消すかもしれません。
それよりも、
いま話題になっている
DX銘柄を中心に分析して、
より期待できる業種に
資金を回したいと思います。
今回の分析は以上です。
ありがとうございました。